大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和34(オ)197 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を名古屋高等裁判所金沢支部に差戻す。

理 由

上告代理人の上告理由第一点について。

上告人は原審において仮定抗弁として、たとえ売買があつたと仮定しても、仮装

による通謀虚偽表示である旨主張していることは記録上明白であり、原判決はこれ

について判断を示していない。尤も売買を認定判示しているがこれだけでは右仮定

抗弁について判断を示したものとはいえない。論旨は理由がある。�

同第二、三点について。

所論甲第四号証には「売渡代金弐拾四万円也、……代金不残正ニ領収致候処確実

也……」と記載されている。かゝる代金支払済の記載は代金債務の不存在、延いて

売買の不存在即ち贈与の事実ないし、代金債務の免除の事実を推認できないことは

ない。然るに原審は同号証について何ら首肯するに足る理由を説示することなく、

単に右甲第四号証は本件不動産の所有権移転登記手続にその形式を整えたにすぎな

いものとして、贈与の事実を認めるに足る証拠なしとしたことは、審理不尽、理由

不備のそしりを免れない。この点の論旨もまた理由がある。

よつて、民訴四〇七条により裁判官全員の一致で主文の如く判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

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